2008/08/06

CIEC 2008PCconfernce(初日)

今日から8日までCIEC(コンピュータ利用教育協議会)の全国大会であるPCカンファレンス。今回のテーマは「創発する学び」。場所は慶應のSFC(湘南藤沢キャンパス)で、ここに来るのは6年ぶりくらいになる。

初日の今日は基調講演1・2、シンポジウム、イブニングトークという構成になっている。

基調講演1は会長である佐伯胖先生の「学習学ことはじめ~勉強から学びと共感へ~」。「上から読んでも学習学・下から読んでも学習学」で始まった先生の講演は「学習の主導権を学習自身のものとして学習を捉える考え方」である「学習学」の提案。

教師は「うまく知識伝達する人「=「うまく勉強させる人」という「教え主義」の教育から脱し、「教師は学習者と横並びになって、文化的実践をともにし、面白いことを見つけ合い一緒に面白がる人」という「共感的参加型」の学習を提案されていた。

エピソードとして印象的だったのが、浮世絵に描かれる親子は何かを一緒にみている共同注視が多く、古来、日本は親子で共視する文化を持っていて、今の日本は「あの人が見ているのと同じように私も見ている」という感覚の重要性を忘れているのではないか?というお話だった。

講演の最後は「いまこそ、学びにおける能動的共感性の回復を!」というスライドで締めくくられていた。

基調講演2は熊坂賢次 慶應義塾環境情報学部教授の「SFCの挑戦:「未来からの留学生」から未来創造塾へ」。SFCがこれまでにやってきたこと、そしてこれからやろうとしていることをご紹介いただいた。

SFCの当初コンセプは「未来からの留学生」で「21世紀に役立つ知」を20世紀に学ばせようとするものだった。
そして、今のはコンセプトは「未来創造塾<21世紀福沢塾>」。いままでの大学が作ってきた基本的な仕組みを根底から突き崩し、教員にすら分からないものに挑戦しようとするもの、。そこでの教育は当然、知識伝授ではなく、教員と学生と職員が一緒になって考えていくものであり、学生はそのためのパートナーだというお話が印象的だった。

シンポジウム1は「プロジェクトを通じた学びとメディア環境」がテーマで私も出演し、熊本大学教授システム学専攻で行っている「eラーニング実践演習」の事例を紹介した。

プロジェクトを通じた学びについて妹尾先生@東大の司会のもと、熊坂先生、長岡先生@産能大、松沢先生@静岡大と議論していった。

一言でプロジェクト型の学習といっても、私たちがやっているeラーニング実践演習のように割とかっちりデザインして実務能力を高めようとするものから、何をプロジェクトとするかから学習者に考えさせ、学習者の創造力を育もうとするものまで様々であり、学びの目的によって、やりかたも変わってくるというのが結論といえば結論。

私にとっては、私がやったことが無いタイプの「緩い」プロジェクト型学習の事例や考え方を聞くことができたのが大きかった。

夕方からはイブニングトーク。これはPCカンファレンスの名物みたいなもので、立候補したモデレータが話題提供し、それについてお弁当を食べながらワイガヤをするもの。私が参加したのは妹尾先生@東大が提唱した「授業法研究会を立ち上げませんか」で、中学校~大学院の教員、企業の方、研究者らが20人集まり、授業について、プレゼンテーションについてなど様々なことを語り合った。この先、「授業法研究会」を立ち上げることになり、アップルコンピュータの坂本さん、北大の石村さんと一緒に私も幹事の一人になった。

ということで初日は終了。また明日。

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2007/01/05

データを眺める(CIEC研究会)

今日(1/5)はCIEC(コンピュータ利用教育協議会)の第66回研究会「実践研究における定量的評価の手法に関するワークショップ」 http://www.ciec.or.jp/ja/study/info_ciec66.html に参加。僕自身、実践研究が中心になるため、それをどうやって定量的に評価していくかが関心事(というか悩みどころ)なので勉強しに行った。

本来、研究における定量的評価や統計的な分析は、最初からしっかりとした分析目的を定めてデータを取ってそれを分析していく、ということが理想だし、そう進めることもあるけど、一方で、学校の実践やその成果物は必ずしも明確な目的・計画のもとに実施されているとは限らない。それどころか、当日の講師や参加者の皆さんの話を聞くと、そうではない方が多いようだ。

このような「必ずしも計画的に設計されていない事象の評価を行うためにどうすればよいか」がこの日のテーマ。

報告1「児童・生徒の心の発達とメディア環境等との関連に関する研究」(八王子市立清水小学校 教諭 松波 紀之先生)は急用ができて聴講できなかったんだけど、「基礎からわかる?統計学」と題された配付資料には、統計学の基礎と教員の視座からのポイントが示されていた。

報告2は同志社大学文化情報学部 助教授 宿久 洋 先生による 「必ずしも明確な目的・計画の下に取られていない(大量・複雑な)調査データからの知識発見」。宿久先生は統計を専門にし、大学での統計を教えられている他、統計科学の教育学習環境などにも取り組まれている。講演では実際に授業で使われているスライドも見せていただいたが、統計の「意味」、つまり「何が見えるか」を中心に授業を進められている様子がうかがえた。

宿久先生は「統計的な分析は本来は目的ありきで、可能な限り目的を明確化した上で目的に合わせたデータ収集をするのが基本だが、現実には先にデータが出てきてしまう」と認めた上で、先にデータが出てきた時にもできる対処として

  • データを眺める=データを要約し、それを視覚化していく(とにかく図を沢山書いてみる)
  • データに対応した解析を行う
  • 解析結果(事実)とその解釈を区別する
  • 結果を妄信しない

    を挙げ(これらは目的に合わせたデータであっても留意すべき点)、特に最初の「データを眺める」ことの重要性を強調されていた。

    ちなみに家に帰ってから 同志社大学文化情報学部の教員紹介ページhttp://www.cis.doshisha.ac.jp/professor/n_02/index.htmlを拝見したが、宿久先生の紹介が興味深い上、教員紹介サイトの作りも良くできている。

    Jmp1
    午後は、SAS Institute Japan株式会社 JMPジャパン事業部 竹中 京子さんによるワークショップ「統計解析ソフトJMPを用いたデータ分析の基礎」。JMP(ジャンプ)の使い方を体験版を操作しながら学んだ。この手のソフトを使うのは初めてだったんだけど、かなり面白い。宿久先生が強調されていた「データを眺める」が簡単にできる。こういうツールは高機能・高性能であることも大事かもしれないけど、それ以上「簡単」であることが大事だと思った。「いろいろな方法を使って、様々なカタチで眺めよう」って思って気軽にやってみるためには手順や操作が簡単でなければね。他のソフトは知らないんだけど、少なくともこのJMPは統計の専門家ではない(一応大学では必修科目として勉強したはずなんだけど・・・)僕でも、まさに気軽に使えそうだった。

    Jmp2
    機能として面白かったのは決定木(ディシジョンツリー)の生成。デモでは何千からもなるキノコの中で食べてはいけない毒キノコをどうやって峻別するかの決定木を作ってみてくれた。まずにおいで分類することでかなりの毒キノコを峻別し、次にヒダの色・・・というように生成してくれる。これは、マーケティングなどで良く使うツール(例えば大量の母集団の中から、DMを送って有効なのはどの条件の人たちかを絞り込む、といった使い方)をするそうなんだけど、学習目標を明確化するための分析にも使えそうな気がした。

    ちなみにアカデミックプライスは63,000円と値段も手頃。他の受講者によると、この種のソフトとしてはかなり安い部類で、値段の割には機能は充実しているらしい。

    以上のような実践的な研究会で、良い「聴講初め」になった。

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    2006/12/03

    2006九州PCカンファレンスin熊本大学(2日目)

    塚本先生

    今日(12月3日)は2006九州PCカンファレンスin熊本大学の2日目。分科会として、様々な発表が行われた。
    僕は出番が無かったので、自分が関係する発表や興味がある発表を聞いて回った。


    まず、僕もプロジェクトに加わっている「elこころ学習プログラムシステムについて」についての塚本先生@熊本大学教育学部の発表。まだプロジェクトが開始したばかりなのでコンセプトが中心となった。

    会場からいただいた質問として「一次予防力はこの取り組みで対応するとして、その後は?二次的な対応については?」というものがあった。

    この点については、このプロジェクトには現場の教員が一次予防をした後を引き継ぐ立場である専門家が加わっていて、専門家として「まずはこうして欲しい」「この状態で引き継いで欲しい」「引き継ぐ前にこれはしないで欲しい」といったことを発していくことで対応できると考えている。

    ファーストエイドって普通の病気やケガもそうなんだけど、現場で最悪の事態を避けるとともに、その後に引き継いだ専門家(たとえば医師)が治療をしやすい環境を作ること、あるいはその妨げにならないことが大事で、それはこころの健康に関しても同じだ。

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    村嶋亮一さん次に教授システム学専攻の修士履修生でもある村嶋亮一さん@NPO法人 くまもとインターネット市民塾事務局の「くまもとインターネット市民塾による『学びのコミュニティ』創造と今後の課題」。

    くまもとインターネット市民塾は、誰もが受講者にもなれ、誰もが講師にもなれるというコミュニティベースのeラーニング活用による生涯学習支援サービス。構築や運用における課題とその解決に向けたアプローチについて成人学習理論を踏まえて発表された。

    ここでも良い質問があった。「このように誰もが自由に講師になれるような自由な雰囲気のコミュニティの中で、成人学習理論やIDにのっとったガイドラインを設定すると堅苦しくならないか?」というもの。

    僕もちょっとコメントさせてもらったんだけど、IDは基本的には方法(メソッド)ではなく、使う人に依存する方法論(メソドロジー)なので、「こうしなければいけない」ではなく「こうすればよいですよ」というお勧めをする類だと考えている。

    これを講師役の参加者に押しつけると、確かに堅苦しくなるだろう。いかに緩やかな感じの中できっちりとデザインしてもらうかがポイントになるはずで、それは十分可能だと考えている。

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    また、地元熊本の尚絅学園尚絅大学短期大学部から高橋文徳先生が「moodleを用いた教育支援システムの構築と実践」について発表された。短大でのパソコン検定試験対策の授業での活用事例で、実践されている方ならではのノウハウ満載の発表だった。

    1165392239_619jpたとえば、システム利用率向上への工夫として似顔絵を使っている。これは学生の「面白みに欠ける」「冷たい感じがする」「可愛くない」という不満に対応するもの。
    学生は「写真は嫌だけど似顔絵ならOK」だそうで、似顔絵イラストメーカー http://illustmaker.abi-station.com/ を使って似顔絵を作らせたそうだ。
    僕も似顔絵を作ってみた。


    また、各回の授業で行う小テストでは3回以内に満点を取るよう義務づけたそうだ。
    その結果、制限無しで行ったときよりも、学習する時間、特に1回目の所要時間が増加したそうだ。ちなみに回数についてはいろいろなものを試行されたそうだが、結果として3回がベストだったそうだ。

    また、ディスカッション機能で受講者同士のコミュニケーションや教員との質疑応答を促しているという。特に、積極的な生徒(=ボス)に教えると知識がその周辺に伝播するとのことで、教える側としてはこれが大きいという。

    また、出席機能を使い出席登録させるが、そこでのポイントは学生にフィードバックすることで、「出席率66.6%を常に上回っていないと単位を出さない!」ということを宣言した上で出席機能を使い、学生が自分の出席率を常に把握できるようにした結果、出席率が上がったそうだ。

    こんな感じで、分科会も現場感覚溢れる話が多くとても楽しかった。
    来年はどこで開催されるかまだ決まっていないが、是非参加したいと思う。

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    2006/12/02

    2006九州PCカンファレンスin熊本大学(初日)

    20061202pcc_001今日(12月2日)は2006九州PCカンファレンス in 熊本大学の初日。

    鈴木先生の基調講演「インストラクショナルデザインとeラーニング」に続いてパネルディスカッション「eラーニングの現場・現状・現実」にコーディネーターとして登板した。

    パネラーは英語教育のeラーニングに取り組まれている西嶋 愉一(金沢大学外国語教育研究センター)、遠隔教育のご経験が長く、基礎学力の測定と向上に取り組まれている鍵山 茂徳(鹿児島大学学術情報基盤センター)、文科省「IT人材育成プロジェクト」の研究指定校として高校でeラーニングを授業や資格取得などに活用されている太田 浩樹(熊本工業高等学校)、そして熊本大学の情報教育の中心スタッフである右田 雅裕(熊本大学総合情報基盤センター)の各先生だ。

    普通、こういったパネルって何となく予定調和的だし、壇上の人たちの周りでは物事がうまくいっている印象を聴衆としては抱いてしまい、聴衆は「それに比べてうちは・・・」って思ってしまうことが多い。下手をするとコンプレックスさえ抱いてしまうことも・・・。僕も聴衆としてはそうだったけど。

    そこで今回は、壇上の皆さんに「悩み、相談したいこと」を出していただき、それを会場の皆さんと一緒に考えていこうというしつらえにした。どんなお悩みかは資料をごらんいただきたい。

    資料(PDF 132KB)

    もちろん会場の皆さんからのご相談もあり。しかも、「会場の皆さんもパネラー」と宣言し、壇上のパネラーが会場の誰かを指名して発言してもらってもよい(とうか指名されたら発言しなくちゃいけない)というルールにした。

    結果としては、会場と壇上が一体になったセッションになれたのではないかと思う。

    みんないろいろな苦労をしながらも、やっぱりeラーニングの可能性、たとえば従来ではできなかった学習の個別化(受講者のレベルやペースにあった学習の実現)や、時間・距離の制約からの解放、紙の教材や講義ではできなかった何かができる、といったことを信じて頑張っているということ、そしてそのためにも、従来の教育の方法のままeラーニングに載せるのではなく、新しい学習の姿を考えたり、理想と現実のギャップをと捉えいかに理想に近づけるかを考えたりすることが大事、だということをみんなで共有できたと思う。

    パネルの後は懇親会で、そちらでも司会(^_^;)。eラーニングカンファレンスのトラックでも司会的な役割だったので、なんだか今週は司会漬けな週な気がした。

    それはさておき、九州のCIECの皆さん(教員、研究者、生協スタッフ)はいい感じで繋がっていることを感じることができた。これから「ご近所」の皆さんといろいろ仕掛けていきたい。

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