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2005/04/02

Beatセミナー05-1 ミミ号の冒険

今日はBeatセミナーに行った。
Beatというのは「ベネッセ先端教育技術学講座 Benesse department of Educational Advanced Technology」。

ケータイを中心とするデジタルメディアやデバイスと教育の結びつきを考えるプロジェクトで、リーダーは、僕がいつもご指導いただいている東京大学大学院情報学環の山内祐平先生だ。→Beatウェブサイト

今日は2005年度の第1回セミナー。

「05年度のBeatセミナーは通常の研究会では教材のクリティーク(批評)をする。eラーニングをはじめとする様々な試みでは失敗が繰り返されている。その失敗の多くは前も聞いたことがあるような失敗。同じ過ちが繰り返されるのは歴史を知らないため、そして歴史をまとめている本が無いため。そこでセミナーで古典的なコンテンツを中心にレビューし、その成功と失敗、功罪を整理していき、それを本にしていきたい」と山内先生。

とても面白そうな試みだし、「誰かがやったであろう失敗を繰り返している」というのは、僕をはじめとする企業内教育関係者、特にeラーニングに携わっている人なら共感するところだと思う。

今日のネタは「ミミ号の航海(The Voyage of the MIMI)」。

1984年に開発された世界初のマルチメディア教材で、20年経った今もアメリカの小学校で使われている、まさに古典だ。ちなみにこの教材、ビデオ(ドラマ映像と探究映像各13本)、コンピュータソフト、教師用ガイド、生徒用ワークシート、教科書、掛け図からなる本当の意味でのマルチ「メディア」だ。(物理的にも様々な媒体を使っているという意味で)

巨額な米国国家予算(84年当時の金額で6億円以上と言われている)を費やしたコンテンツで、映像はとても良く出来ていて、リアリティが高い上に、学習要素が巧みに織り込まれている。確かにお金かかっただろうな・・・という出来だ。

ただし、予定した2本の完成後、3本目の企画を立てたが予算が確保できなかった。それは作った教材の評価が出来ていなかった(あるいは「やらなかった」)ためだと言われている。歴史に残る教材ではあるものの、評価に関しては歴史的な失敗と言われているそうだ。

さて、今日のセミナーでは「いきなりラウンドテーブル」という企画があり、受講者として来ていた人がいきなり司会の山内先生に呼び出され、ラウンドテーブル(パネル・ディスカッション)を展開することになった。

Beat20050402

呼ばれたのは、Beatのフェローの中原さん(@東大)、教育コンテンツプロデュースを多く手がけていらっしゃる五藤さん、そして僕。

山内先生と他のお二人はこういった教材の専門家でミミ号にも詳しかったけど、僕はミミ号のことを詳しく知らなかったので「え”~勘弁してよ~」ってところだったんだけど、山内先生いわく「詳しく知らない方が良いんですよ。こういった学校教育・科学教育のやり方が企業内教育に通じるかどうか、という観点で話して下さい」と言われて前に出た。

ディスカッションして僕が思ったことは、教材の普及の方法とか、作った教材の効果をアピールして次に繋げるやり方って、案外研究もされていなければ、知見もノウハウも蓄積されていなそうだってこと。

企業内教育では(っていうか、教育で予算が必要なものは全てそうだと思うけど・・・・)、予算を獲得するにも、その予算の有効性の検証にも、正当化するだけの何かが必要で、それが無いと予算が削減されたり、企画が打ちきりになる。それに使う人が増えないと、その正当化さえ難しいので、プロモーション(学校教育だとこれを「普及」と言う(^-^;))も大事。

そこらへんは教育ビジネスのプロデュースには欠かせない要素なんだけど、あまり語られることは無いようだ。
逆にそこらへんは僕の仕事の中でも大きな部分だし、これから「教育ビジネスプロデュース論」みたいなものを研究していくとオモシロイかな、って思った。

セミナーの詳しい内容はそのうちBeatセミナーのサイトにアップされるのでそちらをご覧下さい。

今年度のBeatセミナーは、教育メディアに興味のある皆さんにはお勧めです。これからも、
この世界では有名なものを取り上げる予定だそうですので、通しで聴講すると、かなり「通」になれると思います。ちなみに参加は無料、Beatセミナーのサイトから申し込めます。

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コメント

北村さま
そういえば新年度第一回のBEATだったんですね。この日は大学院のオリエンテーションに参加していたため行けませんでした。「教育ビジネスプロデュース論」なかなかGoodな方向性ですね。
 ちょうど、大学院の科目で「大学マーケティング戦略」というのを勉強している傍ら、仕事では、eラーニングを売るためのプロモーション用コンテンツを開発するという変なプロジェクトを進めておりまして、まさにマーケティングあるいはプロデュースの日々です。

投稿: koga | 2005/04/08 12:56

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