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2005/05/15

海上自衛隊見学(2) 確固たるポリシー

2術校での話の続き。

4.教官育成も真剣

各校の教官は約3年のローテーションになっている。最新の装備や現場を知る隊員(つまりSME:Subject Matter Expert)でないとちゃんとした実務教育はできないからだ。本人が希望して2回、3回と教官を務める人もいるそうだ。

さて、その隊員が教官になるまでだが、なんと1.5ヶ月の教官課程があるという(いわゆるTrain the Trainerだよね)

その内容について副校長は
・教育をやるときの指導項目、ポイント、時間はカリキュラムとして決まっている。が、その通りやっても面白みも何も無い。だから教官としての教授能力を磨く課程をまず受ける。

・そこで学ぶのは「生徒の前に立ったときどのように目を配るか。どのような態度をとるか」「与えられた時間を最大限に活用するにはどうするか」「どうすればわかりやすいか」といったことで、実際に教授をやってみて、それを評価しあうことで学んでいく。

という説明をしてくださった。

「う~ん、すごい。これだけの期間で徹底してTrain the Trainerをやるなんて・・・。」と参加者は皆脱帽。
実際、このあとの校内見学では各科目の教官にご説明いただいたのだが、分かりやすく、ユーモアがあり、毅然としたなかに親しみがある・・・という完璧なプレゼンテーションを聞かせていただいた。それも全ての教官から!

機会があったら、この教授課程を見学したいと思った。

5.戦時であっても教育は続ける

参加者からの「戦時では教育はどうなるのか?」という質問には「戦時でも同じ枠組みで教育は続ける。もちろん期間の短縮とかはあるだろうが、教育をやめるということはありえない。戦時であっても最低限の教育を確保しなければならない」という明確な答えが返ってきた。

さらに「船を造るのにも5年かかるが、一人前の艦長の育成には20年~25年かかる。だから教育は続けなければならないと」とも。つまり、教育は組織を維持する長期的かつ不可欠な投資だという基本認識がしっかりしているのだ。

最近、民間企業では教育予算をコストとみなし、4K(交際費・交通費・広告費+教育・研修費)とさえいって教育・研修費を削減しているところが多い。それと比べて海自がいかに教育というものをしっかり考えているかが、この一点だけでも分かると思った。

6.知育、体育、訓育

教育の3本柱として「知育、体育、訓育」という言葉を教えてくれた。

知育は知識を与える教育。
体育は体力を与える教育。
訓育は意識付けのための教育だという。

訓育では「本人の意識が無くなるまで戦え」ということを徹底的に教えるという。それは「戦うのを止めたら、その瞬間から侵略を許すことになる」からだという。(心強い!)

そして、そのために精神的なことも教えるが、それ以外にも日本の歴史をしっかり学ぶという。それは「何のために自分たちは命を賭けて守るのか」を学ぶためだそうだ。

こういったことを「ちょっと教えれば自ら動き出すようになる」と副校長はおっしゃっていた。

民間企業においても、自社の歴史、自社を巡る業界や社会の歴史を学び、自分たちはなぜその事業を営むのか、それは社会にとってどのような意味・意義があるのか・・といったことを学ぶことは少ないが、少なくなったことが社員のモチベーションやコンプライアンス意識の低下に繋がっているかもしれない。

会社における「訓育」も考えてみたいと思った。

つづく。

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コメント

隊員として同行した者です。教官課程の具体的なイメージを補足します。時間の半分は教務の実施技法です。4分の1は分析・設計・開発・評価技法です。残りの4分の1は教育理論です。それから知育、体育、訓育はブルームの能力分類の知識能力、運動能力、態度能力に対応している合理的な分類です。

投稿: 君島浩 | 2005/05/16 09:54

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