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2005/05/04

ファシリテーション革命

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【書名】 ファシリテーション革命 参加型の場づくりの技法
【著者】 中野 民夫
【出版社】 岩波書店
【発行日】 2003/04/05
【ISBN】 4007000697
【価格】 777
【その他】 198 p ; サイズ(cm): 18
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会議におけるファシリテーションの研修を実施することになり、受講者への推薦図書を探すためにファシリテーションの研究をしている同僚に「ファシリテーションについて最初に読むべき一冊は何?」と質問したところ、この本を推薦された。結論として、確かにこの本は「最初に読むべき一冊」だと思った。

著者の中野民夫さんはワークショップ企画プロデューサで博報堂に勤められている。
休職し、カリフォルニア統合学大学院(CIIS)に留学、組織開発・変革やファシリテーション、ディープエコロジー等を学び、1992年に復職後は、人材開発、広報活動やイベントの企画・プロデュース、企業の社会貢献やNPO/NGOとつなぐ仕事などに従事されているという。

この本ではワークショップを中心にファシリテーションとは何か、その必要性や考え方、技術的なことについてバランス良く取り上げられている。紙面の関係もあって、それぞれの掘り下げ方は浅くなっているが、それだけに初心者にも読みやすいはずだ。

筆者はファシリテーションを
・「場を作る」:人が良い形で出会い、簡単には答えの出ない問題について問い合う場を作る
・「つなぐ」:はじめてあった人たちをつなぐ
・「引き出す」:それぞれユニークな一人一人の存在、経験、知恵、完成、直観、気持ち、感じ方を引き出す
・「促す」:ひとりだけでは、あるいはバラバラであったらできなかったであろう相乗効果を促す。
といったことだと説明している。

そしてファシリテーションと社会の関係について、社会がピラミッド型(一部の権力者や知識階級が富や情報を占有して下々を支配する)からウェブ型(情報を水平・平等な立場で共有する。ウェブ=クモの巣が一カ所を揺らすと全体が揺れるように双方向に影響しあうもの)へ変化していて、そのウェブ型の関係を取り持ち、引き出し、活性化していくのがファシリテーションだと主張する。

ウェブ型の説明は、京大の杉万先生の蚊帳をメタファーにしたグループダイナミクスの説明とよく似ていて面白い。確かにファシリテーションというのはグループダイナミクスによる場のゆらぎを「促す」(場合によっては「いじる」)ことと言えるかもしれない。

それと、「結び ファシリテーションを越えて」で「ファシリテーションも作為的に過ぎると参加者の自発性を損なう」「ファシリテータは大きな特権や力を持っていることを自覚すべきで、安易にファシリテータも参加者も台頭、平等、皆同じと勘違いしない方がよい。」といったようについ「きれいごと」に入り込んでしまうファシリテーションの危うさについて警鐘を鳴らしている点についても強く共感できる。

前提知識は全く不要で、「ワークショップ」や「ファシリテーシ ョン」って何?といったことを知るための「最初の一冊」としては良いだろう。ただし、会議におけるファシリテーションや、ファシリテーターとしての行動イメージについてはこの本だけでは十分に知ることができないだろう。(紙面の関係で、そこまでは書ききれなかったのだろう。)

【目次】
序 「指導」から「支援」へ
第1章 今なぜファシリテーションか(ピラミッド型社会からウェブ型社会へ
「参加型の場」や「ファシリテーション」の意義)
第2章 ファシリテーションの技術(ワークショップという場
ファシリテーションの技術
あしたのために)
第3章 ファシリテーター8か条
第4章 ファシリテーションの応用(会議への応用
様々な分野への応用)
結び ファシリテーションを超えて

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