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2006/08/09

ゲームとeラーニング(藤本徹氏講演より)

Els20060809

今日は熊大のeラーニング連続セミナー

藤本徹さんに『シリアスゲーム:デジタルゲーム技術を利用した教育課題への取り組み』というタイトルで講演いただいき、 事例も沢山ご紹介いただいた。講演の内容は藤本さんのサイトにアップされているのでごらん頂きたい。

講演から僕が感じたことは次のようなことだ。(講演の最後で「司会者の振り返り」として話した内容です)

1.ゲームの学習効率は?

「ゲームには冗長な部分があり、それが魅力にもなっている。反面、 教育上の効率が悪くなるのではないか?」という意見があった。これについては、確かに情報を「伝える」効率は良くないかもしれない。ただし、 知識が「伝わる」効率についてはどうだろう?効率よく情報を伝えたとしても「教えたつもり」「学んだつもり」になることも多いだろうし、 それよりもあるストーリーの中で伝わった情報が自分として使えるようになる効率を考えると、決して効率は悪くない気がする。

2.ゲームの方が学びやすい内容は?

藤本さんの講演から「ゲームが活きる学習課題」 は次のようなものではないかと思った。

まず「態度」。ゲームに没入し、ストーリーの中で学習活動をしていくことは、 言葉で言われるよりも世界観が揺さぶられると思う。それによって態度変容は起きやすいと思う。たとえば、 「紛争地域の人たちは大変な思いをしている」といったことを説明されるより、 紛争地域の子供のキャラを通じて敵のジープを逃れながら水を汲んできたりする方が紛争地域の悲惨さを感じることができるだろうし、 支援していこうという気にもなるだろう。

次に「知的技能」、つまりある約束事や手順を新しい状況下で使っていくこと。 ゲームの中では「失敗」することができる。しかもそこでは、実際の被害は発生しないし、やりなおしもできる。失敗の繰り返しから、 約束事や手順を覚え、様々な状況下で使えるようになるだろう。

もちろん、ちゃんとデザインしたゲームであれば、「言語情報」(物事の名前など、 いわゆる「知識」)も学習できるだろうし、「運動技能」(体の使い方)も身に付くだろう。だが、他の手段に比べてゲームは「態度」 「知識技能」の教育や学習に効くように思えた。(藤本さんも同意見だった)

3.eラーニングや教育でのゲームの使い方

eラーニングや教育において、ゲームはどのように使えるだろう。 これについても3つのパターンを考えた。

まず、eラーニングや授業・研修全体をゲームで作ってしまうパターン。 これは予算も手間も大変だろうが、この方が良い案件であれば、頑張って予算を確保してプロジェクトを組む甲斐があるだろう。

次に、小さなゲームを織り込むパターン。これだと予算も工数も少なく済む。 ただし、全体のデザインとゲームのデザインがちゃんとできていないと単なる息抜きになってしまう可能性がある。

最後にゲームを意識しながら、eラーニングや授業、 研修を作るという方法もあるだろう。ゲームの本質、「なぜゲームにはまるのか」「なぜゲームが効果的・魅力的に学べるのか」 といったことを考え、その要素、たとえばストーリーを作ったり、チャレンジングな課題提示をしたりして、デザインしていくこともあるだろう。 これだけでも、今までのeラーニングや授業、研修がより魅力的になる可能性があるだろう。

4.ゲームにとりくむ意味

藤本さんが講演の後半で提示されたように、今までの(典型的な) eラーニングとゲームを比較していくことで、eラーニングをより魅力的なもの、効果的にまなべるものにする可能性があると思う。

それ以上に、ゲームで育ってきた「ワカモノ」、 ゲームが日常的なメディアになっている「ワカモノ」に対して、ゲームを使っていくことは、「ワカモノ」 を相手にすることが多い学校や企業の教育部門としては当然のことだと思う。

ただし、藤本さんも質疑応答の中で言われていた通り、 ゲームはオールマイティでもなければ、ゲームを使わなければならないわけでもない。あくまでも適材適所である。適材適所を考える上でも、 まずはゲームの本質を理解していく必要があるだろう。表層的にゲームを理解し、安易にゲームを用いても、ワカモノたちからは「クソゲー」 (ちょっと下品な表現だが・・)扱いされてしまうはずだからである。

このように様々なことを考えさせてもらう機会を得た。アンケートを見ると、 多くの受講者の皆さんにもご満足いただけたようで嬉しかった。藤本さん、来場者の皆さん、ありがとうございました。

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