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2009/01/23

オントロジー(Jsise産学連携シンポジウム-1)

今日はJSiSE(教育システム情報学会)産学連携シンポジウムが開催された。
このシンポジウムは学会と産業界をつなごうという新しい企画で、学会で発表されている内容の中で、企業等の活動に直結しそうなもの、企業の皆さんから活用のヒントを頂きたいものを取り上げようというもの。

第1会の今回は「教育システム研究最前線: いま熱い!! オントロジーとeポートフォリオ」と題して3人の研究者に発表をしてもらった。

まず、オントロジーについて、「ID(インストラクショナルデザイン)理論のオントロジー化-誰でも使えるID理論の構造化を目指して-」というタイトルで大阪大学産業科学研究所の林雄介先生にプレゼンしていただいた。

オントロジーをひとことでいうと・・・・・・というのが結構厄介で、懇親会でも林先生に「ブログで簡単にオントロジーを説明したいんですが、どう書いたらいいですかねぇ?」と相談したところ、「オントロジーを一言で説明しろ、って言われて私(林先生)も結構困っちゃうんですよね」という答えが帰ってきた。

で、一緒に考えていただいて無理に整理してみた。

まず、当日のスライドでは
「オントロジーとは共通語彙(概念)を提供する体系化された辞書(のようなもの)
× 自然言語による記述(普通の辞書)
○ 概念的体系化に基づく計算機処理可能な記述
知識(モデル)のバックグラウンドにある暗黙的な情報を明示化する」
とあった。

これをもっと平たく言うと(かなり無理矢理だけど・・・)
・オントロジーとはある領域の知識をパラダイムごと、データベースにぶち込むためのもの
(オントロジーの上にデータベースを作る)
・それを、何らかの用途、キーワード、文脈などで引き出し、提示しようとするのが、オントロジー工学の目指すところ。

例えば、IDひとつとっても、様々なモデルやツールがある。ガニエの9教授事象だったり、ARCSモデルだったり、Dick and Careyのモデルだったり・・・・。そしてそれらの土台になっているのも、認知主義だったり、構成主義だったりと様々なパラダイムがある。

「モデルやツールなので、適材適所に使えば良い」なのだが、その適材が何かを判断するのは簡単ではなく、特に初心者にとっては難しい。また経験者にとっても、他にもっと良い方法があるにもかかわらず、思いこみで従来から自分が慣れたものを使ってしまうということもありえる。

林先生が開発したツールは、IDに関する11の理論から99個の学習・教授方略を抽出して方式知識として定義し、それを利用者が「何をしたいか」を入力することにより、適切な選択肢(複数のこともある)を提示してくれるというもの。

同じAI(人工知能)の領域の中で、類似品に見えるエキスパートシステムとの違いは、エキスパートシステムはあるエキスパートのやり方(単一)を再現しようとするものに対し、オントロジー工学で作るアプリケーションは複数の選択肢を提示することがあるということ。

オントロジー工学はナレッジマネジメントのための方法論として研究されているが、その目指すところは再利用と共有だと林先生は言われていた。つまり、ひとつの知識を別の用途にも応用し、それを様々な人に使ってもらうというのがその目的だそうだ。

当然、オントロジーが使える分野はIDだけではない。様々な分野で活用できる。
「複雑な要素から成り立っていて教えにくい」と言われているような業務で活用すれば、ワークプレイスラーニングにも有効な武器となるだろう。

現時点では、知識データベースを構築するのは手作業で、林先生も相当な数の文献を読み込み、整理するのに相当な手間と時間を要したとのこと。さらに、そこで構築されたデータベースにはどうしても作業者(この場合は林先生)の世界観が投射されてしまう点が怖いとおっしゃっていた。

このあたりは、その分野の複数の専門家が作業にあたり公約数を見いだせばよいのだろうが、きっと「そもそも論」のところでかなりなバトルになるだろうなぁ・・・・。

とはいえ、このオントロジー、これから注目されるべき分野だと思う。

前述の通り、ある領域の初心者が状況対応や問題解決のためにどのような選択肢があるかを知る(学ぶ)のに有益だろうし、経験者にとっても「この状況にはこの手段」という先入観から脱し、より視野を広げる助けになるだろう。

林先生、ありがとうございました。

OMNIBUSプロジェクトwebページ http://edont.qee.jp/omnibus/

ところで、これを読まれている皆さんにお願い。

「オントロジーは知識の○○」と比喩するとしたら、○○には何を入れますか?壺?玉手箱?ちがいますよね?
さて、何かよいメタファーを考えてみていただけませんか?
「知識の」は付けなくても構いません。

是非、お知恵をお貸しください。

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